SIM邸 
お客様からの要望/敷地等の条件
 東京都豊島区千川。お父様とご子息はともに内科の開業医であり、今回新築を機に一緒に開業することになった。2面(北、東面)が道路と好条件のもと、1階は医院、2階はご子息夫婦の住まい、3階はご両親の住まいといういわゆる
医院付き2世帯住宅の設計を依頼された。またご両親は家相をそこそこ信じていらっしゃることもありその決まり事も守るよう要望された。 
●要望.条件についてのテーマ/提案のポイント
個人的には
家相を信じていないのだが家相を基にプランニングすることは難しいとは思わない。何度も経験をしているからだ。ただし施主が気にするあまりプランが不自然になったり、立体形を極力単純化(方位により凹凸がないほうが吉)せざるを得なかったり、設計者の端くれとしてつらい思いをすることもある。今回はある程度スムーズにプランニングをすることができたが、唯一形態の単純化はさけられず単純立方体となってしまった。表情をどこに求めるかはとてもおおきな課題となった。そこでバルコニー、角地の面、屋根を曲面にすることで「堅いコンクリート」のイメージから脱却して「柔らかいコンクリート」建築の表情を作ることにした。特に南側などは大きな半円形バルコニーを作ることで奥行きのある暖かい柔軟なイメージを作り出したと思っている。 またどんな建物も資金の条件がある。今回も面積が決まる前から予算の上限が決まっていたため、予定より床面積が大きくなったことで金額の割り振りに私なりに苦心した。結局外壁タイルには「ほどほど」のものしか使えないことになり、色を微妙に変えることやポイントにコンクリート打ち放しを用い、形態にアクセントを作ることにした。ただでさえ単純化した形態なのでこのタイル色のカラーコーディネートにはかなり神経を使ったつもりである。

東立面。

立面
角地に建つこの建物にガラスブロッ
クでシンボリックにした


3階お父様お母様の住まい。吹き抜けになっている。

2階御子息と奥様の住まい。天井
をRにすることで天井高さを確保。

1階 クリニック 待合室