墨田区 T邸
 「音楽スタジオを玄関ホールにした住まい」
●墨田区Y駅より徒歩5分、4mもない狭い前面道路にぎっしりと建物がひしめき合っているような環境の中の狭小敷地(62)に建つ音楽家夫婦の住まいである。ご主人は中学校の音楽教師、奥様はオーボエの奏者兼指導者。
●ある建築雑誌に掲載してあった当社の作品をご覧になってメールをいただいたのがきっかけである。他にもインターネットのコンペ(ハウスコ)に設計募集依頼をしていて、2030社の設計事務所からも案が集まったようである。しかし慎重に検討し選ばれたのが幸運にも当社であったことはとても嬉しい限りである。シンプルで使いやすい家がお気にめしたようである。
●あたえられたテーマは 本格的に演奏ができる防音スタジオをつくることと、セントラル空調をとりいれた明るい住まいということだけである。
●しかし狭小敷地であることで容積が限られ、個々の部屋を独立して確保させることは難しい。そこで スタジオと玄関ホールの兼用すること、LDKと廊下を統合すること、可動家具収納を利用し自由に部屋の大きさを変えることができるフレキシブルな子供室(将来)など 少しでも広がりがあり自由度の高い空間をつくることに心がけた。
●外側のイメージは四方をぎっしり建物で囲まれているような立地のため 外からは閉じた形態でありながら内部からは開かれたようにしたかった。そこで 高速道路の側壁でよく使われている穴あき折板を使用し バルコニーを覆うことにした。

周辺は高密度に住宅が乱立している下町である。そこで周辺から断絶させることがテーマとなり、バルコニーすべてを穴あき折板で覆っている。
 

二階居間から食堂を望む。セントラル空調のため、階段室もオープンになっているので広く利用できる。
居間の天井高さは3m。スキップフロアにすることで空間に変化を与えている。

二階食堂と厨房。南に穴あき折板であるが、光が燦々と入る。
 
オープンキッチン

半地下の防音スタジオ。残響音を1秒に設定して設計した。ここは玄関ホールも兼ねている。左にはプロジェクタースクリーンが設置されている。

半地下の防音スタジオ。真中の玄関扉を開くと この部屋に入ることになる。

三階 洗面所。北側だがトップライトから光が入り明るい。

三階寝室。道路斜線で切れた天井が見える。