茅ヶ崎 T邸
 「犬と共存するすまい」
10年くらい前に埼玉県のK市で自宅のリフォームの設計監理をさせてもらった縁で 神奈川県湘南の海のすぐそばのT市に購入した土地に自宅を建てたいという設計依頼がきた。施主は若い夫婦とお嬢さん一人そして家族同様にかわいがっている大型犬(ワイマラナー)3匹である。
●条件は 犬と共同生活ができる家にしたいこと、大きな庭で犬を自由に遊ばせたいこと、湘南という場所柄自然を謳歌できるような開放感のある住まいにしたいこと、家相を重視すること、自然素材{外壁=無垢木製、床材=無垢木製、内装壁天井塗装=ビーナスコート、断熱材=セルロースファイバーなど}に徹底的にこだわること、自分たちも積極的に工事に参加したいこと(DIY)であった。
●外観は、家相を重視したプランがご希望であったので 家相でいう「欠け」のない単純形態にし、湘南という場所柄、バナキュラー(土着的)なテイスト、自然にとけ込めるような雰囲気、新築でありながらすでに何年も建っているような風合いを重視し、木部をできるだけ露出させ、外壁には木製サイディングを採用した。
●犬舎の位置については、犬が常に飼い主のそばにいながら 庭にも犬専用のドアから自由に出入りができるようなところにつくることが条件であった。そこで居間に隣接した南側の一等地に犬舎を設置した。ふだんは開け放して居間と犬舎は視覚的につながっているが 夜間や来客があったときなど、別にしたいときなどには、檻(オリ)を締めることができるようになっている。
●燦々と太陽の光がふりそそぐこの居間と食堂の大空間はこの家のコア(核)となっている。どこの部屋からも扉や窓から顔をだすことができ 家族の中心となっている。また大きな全開サッシがあるので、全開すると室内と外部空間が連続し、一体となる。
●なるべく自然素材を使いたいということで以上のような内装材を利用。断熱材にはセルロースファイバーを使用。天然の木質繊維のことで、新聞残紙を主原料としたリサイクル商品で厚さ100mm充填している。限られた地球の資源を有効利用し、住宅の省エネルギーに貢献していて、安全基準に厳しいアメリカで60年の実績がある。フローリングには南洋材である無垢のカリン材(2階はパイン材)を使い、施主自らすべてのフローリングのワックスをかけた。内部壁天井塗装には ビーナスコートを使っている。これは原料に「火山灰」「カルシウム」を使用。安全で環境にやさしい内装仕上材で 触媒機能で細菌類を滅菌したり、ホルムアルデヒドなどの有害化学物質を吸着、分解する。


アプローチから望む。手前木製フェンスは施主によるが現
在も工事中。
1F左側の掃き出しサッシ内は犬舎がある。

外壁は 木製サイディング。白い部分は
ジョリパット塗り。高断熱仕様で断熱材
はセルロースファイバーなので冬はとて
も暖かい。

3匹の大型犬と共存。普段も自由に室内を歩き廻ることができる。

吹き抜けの間のブリッジをみる。

犬舎は、家の一等地である居間の南側にある。
普段はオープンであるが 夜だけ特注引き戸で柵を閉めることができる。

玄関ホール。
正面にアルコーブBOXがある。

左に犬専用入口があり直接庭に出ることができる。
プレゼンテーションの時のパース:実際にできたときとイメージは変わらなかった。

外壁は木製サイディング。



居間から食堂を見る

食堂より居間を見る。全開サッシなので全開する。

南から豊かな光、風が入ってくる。

吹き抜けの真ん中にある象徴的な
ブリッジ。